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Better and Bespokeであること

  • Dean
  • 2024年11月4日
  • 読了時間: 4分

Contents

1.人に何かを贈るとき

2.Better and Bespokeとは

3.思いを伝えるときは形に

1.人に何かを贈るとき

日本に住んでいると,何かしら人に贈り物をする機会が多いかと思います.例えばお中元やお歳暮,身近なところでは誕生日プレゼントなども贈り物の機会にカウントできるのではないでしょうか.

そんなとき,たいてい何を差し上げれば良いのか迷うことでしょう.形にならないほうが相手に気を遣わせないとか,あれそれはタブーだったとか.

儀礼的に何かを渡さねばならない場合は,基本的に地方ブランドのある無地のタオルを渡すのが定番かと思います.食べ物のようにアレルギーや好みを気にする必要もなく,日用品であるためいつか使うタイミングはくるものです.そう考えるとローコストかつローエフォートな選択が可能です.

しかし何かの記念にものを贈るとき,関係性によっては何を贈ればいいのか,かつどんなものを贈ることが最適なのか決めあぐねるタイミングもあるかと思います.

結局,大切な関係での贈り物になればなるほど,どのようなものを差し上げればいいのか迷ってしまうものです.

2.Better and Bespokeとは

そんなときに考えていただきたいのは,「Better and Bespoke」の原理です.


Better:双方にとってよいものと認識されること

Bespoke:その人のために準備,用意されること


よく勘違いされがちなことですが一概に高いもの,得難いものを贈ればそれでよいというわけではありません.

よりよいものとは,贈り主と受け取り手の双方がそのものの価値をよく理解し,なおかつ使用の動機があることを前提としているのです.

例えば,お酒を全く飲まない人に高級なシャンペンを贈ったところでその効果は限定的ですし,むしろ嫌味な印象を覚えるかもしれません.(これは筆者が京都人だからでしょうか.)

値段の高いもの,得難いものがBetterである必要は全くありませんし,双方の間でその価値が共有されていることを唯一の条件としてBetterなものと定義するのが無難です.


次にみなさまに考えていただきたいのは,そのものがBespokeなもの,つまりは受け取り手のために時間をかけて選び,用意したものであるかといった観点です.

先般触れたように,よいものはよいということは事実ですが,より効果的に贈り物の効用を発揮させるためには,その贈り物に添えるストーリーが必須となります.

お酒の例でお話しすると,あなたはチーズが好きだから合わせて飲んでほしいとか,誕生年に仕込まれたワインで誕生をお祝いしたいだとか,何かしらのサイドストーリーがあるからこそ輝くのです.


このBetter and Bespokeの考え方は贈り物に遍く適用可能な原理のように感じています.少なくとも異文化コミュニケーションや,異なる社会階層の人間との間にも成立する互酬性の基礎だと考えられます.ですから,みなさまもぜひご活用していただけると幸いです.


末尾余談になりますが,このBetter and Bespikeの原理は,かぐや姫が5人の求婚者に対して出した難題にも準えることが出来ましょう.作中の5名は当時の社会制度から考えると上流貴族であり金銭は潤沢に持ち合わせていたことでしょう.かぐや姫が何を考えていたのか私にはわかりかねますが,同じ状況ならうんざりすることかと思います.

蛇足ですが私も同時に複数の男性に言い寄られることもあり,そのときは少しかぐや姫をやつしてみたり.

3.思いを伝えるときは形に

今回最後のセクションになりますが,人に自分の思いを伝える際には基本的に何かしらの形にするほうがベターです.有形無形にせよ何かを贈ることによって,人への思いは伝わるとされます.

現代の人間は私も含んで何か人にものを伝えるときに贈りものをすることに抵抗を覚える場合も多くないかと思います.しかし,必ずしも贈るものは「モノ」である必要はないことを最後に申し添えておきましょう(贈り「物」とは言いますが).

例えば一緒に時間を共有することも互酬性のスキームのうちの一つになります.むしろそのような無形の「コト」で済ませるほうがより合理的な方法と考えることもできます.

贈る人間と受け手の関係性にもよりますが,贈り物をするときはどのような形にするのが望ましいのか,あるいはBetter and Bespokeの原則を満たしているのか,そういったことを考えていただけると,人に何かを贈るときに考えることが減るのではないのでしょうか.

Conclusion

①贈り物は互酬性をもつ

②贈るならよりよく,その人のために選んだものを

③返す形はものとは限らない


それではみなさま,ご機嫌よう.

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